吾輩は悩むのが趣味である

悩みが尽きない人々に読んでいただきたいのです

「お相撲さん」とかけて「鍋」ととく。その心は?

今週のお題「鍋」

 

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お相撲さんとは

「お相撲さん」という言葉がある。
日本人の多くが当たり前のように「お相撲さん=相撲取り」だと理解できるが、よくよく考えたらおかしな話だ。なぜなら「相撲」は競技の名称であるからだ。

私は相撲以外に「競技名+さん」で選手を表す競技を知らない。野球選手を「野球さん」とは言わないし、サッカー選手を「サッカーさん」とも言わない。ボクシングさんとかレスリングさんも聞いたことがない。
我々が慣れ親しんだ「お相撲さん」という言葉は非常に特殊な表現なのだ。


さて、「鍋」の話である

「鍋」と「お相撲さん」。一見なんの関連も無さそうだが、実は共通点がある。それは「ハイコンテクスト文化」という言葉で説明できるかもしれない。

コンテクストとは文脈という意味だが、話し手と聞き手との間の文化的背景・文脈の共通性が高いのがハイコンテクストの文化、低いのがローコンテクストの文化ということになる。

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参照元の記事にもあるように、日本はハイコンテクスト文化と言われている。
話し手と聞き手との間の文化的背景・文脈の共通性が高いため、前提を確認しなくても話の意図が伝わるのだ。

シンプルに名詞として考えた場合、「鍋」とは食器のことである。

食器(しょっき)とは、食事に用いる容器や器具の総称で、容器については単に(うつわ)と呼ぶ場合もある。

食器 - Wikipedia

鍋はあくまでも食器であり、料理の名称ではない。
しかし日本人には「鍋」が料理の名称だと理解できる。鍋だけではない。日本では「椀」「串」などの食器名が料理を示す例がある。

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一方で外国の料理はどうだろう。私の知っている範囲で「皿」や「ナイフ」という料理名は見当たらない。 皿は皿でしかない、ナイフはナイフでしかない。

固有名詞の正確性を考慮すると、そっちの考え方のほうが正しい気もするが、うちの国では「鍋を使って食卓上で作る煮物料理」を「鍋」と表現する慣例があり、鍋という食器を食べるわけでは無いのである。

鍋 - Wikipedia

「鍋を食べると言っても、食器の鍋を食べるわけではない」と書いてると、何だか頭の悪いおっさんのブログみたいになっているが、ハイコンテクスト文化では共有されている言葉を敢えて解説すると馬鹿みたいに見えるらしい。

普通の日本人に「お相撲さんは人間ですよ」と説明したら「なに言ってるの、当たり前だろ、馬鹿なの?」と言われるだろう。

まったく鍋料理と関係のない話を続けて申し訳ないが、なにせ私は重箱の隅をつつく男。「なぜに食器名が料理を表すのか?」と、気になったら止まらない性分なのである。ゆえに悩みが止まらない。

 

やはり今日も悩みはつきないのであった。